獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 寝室の扉を閉めると、そのまま扉に背中を預け、小刻みに震える体を抱き締める。
 ……起こし方が悪かった? それとも、口の利き方が悪かった?
 あんなにも陛下を怒らせてしまうなんて、これからどうしたら……。
「おやヴィヴィアン、陛下はもう起きておられるのですか?」
 扉に凭れかかって俯く私に、廊下の向こうからやってきた侍従長が怪訝そうに問いかけた。
 心細い中にあって、目の前の侍従長の姿は救世主のように見えた。
「じ、侍従長……っ」
 今にも泣きだしそうな私に、侍従長は眉間に皺を寄せた。
「なにかあったのですか?」
「実は、今しがた『出て行け』と、陛下に怒られてしまいました。どうやら僕は、それと気づかぬ内に陛下の逆鱗に触れてしまったようで……」
「そんなことですか」
 私が苦しい胸の内を吐露すれば、侍従長はにべもなく言い放つ。
「陛下の言葉通り部屋の外でお出ましを待てばいいだけの話ではありませんか? 『近習を辞めろ』と言われたわけではないのですから」
「……え」