「ならば兄様、僕には今がその時なんだ。僕はこれまで大好きなお母様に喜んで欲しくって、小さな違和感に気づかない振りをして言われるがままになんでも従ってきた。だけど本音は甘えで、僕自身その方が楽で居心地がよかったんだ」
常になく静かな口調で、ハミルはゆっくりと語る。
「それが今回、これまで目を逸らしてきたお母様の本性をまざまざと突きつけられた。お母様は自分が犯した一連の犯行を耳障りのいい言葉で取り繕って、僕の頭上に宝冠が載る日も近いと微笑むんだ。そうしてふた言目には、愛する僕のためだと言うんだけど、そんなのっておかしいでしょう?」
俺は返す言葉に窮した。ハミルはそんな俺を真っ直ぐに見据え口を開く。
「兄様、僕は永久に帝位継承権を放棄し、あなたの臣下に下ります。既に正式な証書を帝国議会にあてて送ってきました」
「なんだと!? まさかお前はそれを信用のおける配送屋に託すために、漁港の町まで下りたというのか?」
「離宮の者には頼めなかったので、やむを得ずそうしました。兄様やヴィヴィアンには心配をかけてしまってごめんなさい」
常になく静かな口調で、ハミルはゆっくりと語る。
「それが今回、これまで目を逸らしてきたお母様の本性をまざまざと突きつけられた。お母様は自分が犯した一連の犯行を耳障りのいい言葉で取り繕って、僕の頭上に宝冠が載る日も近いと微笑むんだ。そうしてふた言目には、愛する僕のためだと言うんだけど、そんなのっておかしいでしょう?」
俺は返す言葉に窮した。ハミルはそんな俺を真っ直ぐに見据え口を開く。
「兄様、僕は永久に帝位継承権を放棄し、あなたの臣下に下ります。既に正式な証書を帝国議会にあてて送ってきました」
「なんだと!? まさかお前はそれを信用のおける配送屋に託すために、漁港の町まで下りたというのか?」
「離宮の者には頼めなかったので、やむを得ずそうしました。兄様やヴィヴィアンには心配をかけてしまってごめんなさい」



