獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 光を集めたみたいな眩い金色の瞳に、私だけが映っていた。逸らせずに見つめていたら、マクシミリアン様の精悍な顔がグッと迫ってくる。
 えっ!? 私は驚いて咄嗟に瞼を閉じた。

***

 朱色に色づくヴィヴィアンの唇を、まさに掠めようかという瞬間――。
 扉の向こうにハミルの気配を感じ、弾かれたように視線を巡らせる。直後、扉越しにハミルのピンと張り詰めた呼び声が耳を打つ。
「兄様、ここにいらっしゃいますか」
「ハミル殿下!?」
 声を掛けられて初めてハミルの存在に気づいたヴィヴィアンが驚きの声をあげた。
 俺は大股で扉に向かい、手ずから引き開ける。
「ハミル無事だったか!」
 ハミルは緊張感の篭る目をして佇んでいた。彼のこれまでにない厳しく引き締まった表情を前にして、俺は内心の戸惑いが隠せなかった。
 ヴィヴィアンも眉を寄せ、心配そうにハミル見つめていた。
 今回の一件で俺と母の対立は決定的となった。俺は母と決着をつけること、それによって母が軽くない処分を受けることも寸分も躊躇はない。