「皇太后陛下が地方創生大臣にあてた手紙が彼の執務机に不用意に置かれたままになっており、偶然目にしたのです。内容は『ハミルが無事に目覚めた。ヴィヴィアンもじきに目覚めるだろうとの医師の言葉を信じ、離宮に向けて出発することにした。後のことは全て私の指示通りに動くように。そうすれば約束通り、お前の一族に新政権での要職を与える』と、こうでした。儂は居ても立っても居られなくなり、好奇を装ってさり気なく地方創生大臣に探りを入れてみたのです」
「地方創生大臣はお前に、皇太后の指示とやらを話して聞かせたか?」
 地方創生大臣の関与を聞かされても、今さら驚きはない。
 俺はカロスらの調査によって既にこれを知っていたし、もっと言えば、地方創生大臣が賄賂によって一部の地方領主らを不法に優遇しているのも調べをつけていた。