俺の詰問に財務大臣は特段気分を害したふうでもなく、静かに首を横に振った。
「……いいえ。事はもっと単純でございます。儂はヴィヴィアンに無事に皇宮に帰ってきて欲しいのです。彼が皇太后様の罠によって犠牲を強いられる、儂にはそれが耐えられんのです。ヴィヴィアンはあなた様を信頼し、慕っている。あなた様の手で救ってやって欲しいと、すべてはそんな老婆心でございます」
財務大臣の口振りから、俺が知らぬふたりの交流が想像出来た。
「なるほど。ヴィヴィアンが古参の気難しい高官や使用人らとすっかり打ち解けているのは見知っていたが、よもやお前まで懇意になっていたとは思いもよらなかった」
「耳ノミ症で療養中の儂をヴィヴィアンが訪ねてきてくれ、すっかり意気投合いたしました。孫と祖父ほどの年齢差がありますが、儂らは気の置けない友人になったのです。友人の無事を願うのは当然のことです」
シンプルな回答は、ストレートに俺の心に響いた。
「……いいえ。事はもっと単純でございます。儂はヴィヴィアンに無事に皇宮に帰ってきて欲しいのです。彼が皇太后様の罠によって犠牲を強いられる、儂にはそれが耐えられんのです。ヴィヴィアンはあなた様を信頼し、慕っている。あなた様の手で救ってやって欲しいと、すべてはそんな老婆心でございます」
財務大臣の口振りから、俺が知らぬふたりの交流が想像出来た。
「なるほど。ヴィヴィアンが古参の気難しい高官や使用人らとすっかり打ち解けているのは見知っていたが、よもやお前まで懇意になっていたとは思いもよらなかった」
「耳ノミ症で療養中の儂をヴィヴィアンが訪ねてきてくれ、すっかり意気投合いたしました。孫と祖父ほどの年齢差がありますが、儂らは気の置けない友人になったのです。友人の無事を願うのは当然のことです」
シンプルな回答は、ストレートに俺の心に響いた。



