正直な物言いに、不快感は湧いてこなかった。少々規格外なヴィヴィアンや平民はともかく、高位貴族が俺の『耳なし』をまったく残念に思わないと言えば、それこそが嘘だからだ。
そして、法改正において反対の立場を表明した財務大臣の理論にも一応の理解は出来た。
「しかし、儂はそれらを理由にあなたの排斥を望んだり、あなたの政に不満を抱いたことは誓ってございません。逆を申せば、先の法改正の一件を除き、儂は陛下の掲げる施策に賛成・賛同の立場でございます。陛下ご不在の中で、ご意思にそぐわぬ判断が強行採決される恐れは十分にある。それを阻止する役目を、儂に担わせていただきたいのです」
俺はこれまで財務大臣に対し、どことなく頼りなげで、声高な周囲の意見に流されて賛同しがちな印象を抱いていた。しかし今、目を逸らさずにしっかりと己の意見を述べる大臣を前にして、その印象は霧散していた。
「お前が俺の施策に賛成の立場というのは分かった。しかし何故、あえてお前がその役を買って出る? 俺が帝位存続となった後、なにかを得んと望むか?」
そして、法改正において反対の立場を表明した財務大臣の理論にも一応の理解は出来た。
「しかし、儂はそれらを理由にあなたの排斥を望んだり、あなたの政に不満を抱いたことは誓ってございません。逆を申せば、先の法改正の一件を除き、儂は陛下の掲げる施策に賛成・賛同の立場でございます。陛下ご不在の中で、ご意思にそぐわぬ判断が強行採決される恐れは十分にある。それを阻止する役目を、儂に担わせていただきたいのです」
俺はこれまで財務大臣に対し、どことなく頼りなげで、声高な周囲の意見に流されて賛同しがちな印象を抱いていた。しかし今、目を逸らさずにしっかりと己の意見を述べる大臣を前にして、その印象は霧散していた。
「お前が俺の施策に賛成の立場というのは分かった。しかし何故、あえてお前がその役を買って出る? 俺が帝位存続となった後、なにかを得んと望むか?」



