「正直、驚いております。もちろん、これまでもあなた様は賢帝であられた。しかし国民に対しかくも厚い決意を持って政に励んでおられようとは……私は一番近くにありながら、その本質を正しく理解できていなかった己を恥ずかしく思います。この上私から申し上げるべきことなど、ひとつとしてございません。あなた様が大切に思うヴィヴィアンの救出に、尽力させていただきましょう」
カロスはなんとも心強い言葉をくれる。
――カタン。
カロスとヴィヴィアン救出の決意を確かめ合ったところで、扉の向こうから小さく物音があがる。
「誰だ!?」
扉を閉じぬままでいた己の迂闊さに内心で舌打ちしつつ振り返るのと、扉から財務大臣が顔を覗かせるのは同時だった。
「財務大臣、其方何用でここにいた?」
「ここにまいったのは、陛下の廃位を求める一連の状況についてお耳に入れたいことがあったためです」
財務大臣は厳しく誰何する俺を怯まずに見つめ、はっきりとした口調で話し出す。
カロスはなんとも心強い言葉をくれる。
――カタン。
カロスとヴィヴィアン救出の決意を確かめ合ったところで、扉の向こうから小さく物音があがる。
「誰だ!?」
扉を閉じぬままでいた己の迂闊さに内心で舌打ちしつつ振り返るのと、扉から財務大臣が顔を覗かせるのは同時だった。
「財務大臣、其方何用でここにいた?」
「ここにまいったのは、陛下の廃位を求める一連の状況についてお耳に入れたいことがあったためです」
財務大臣は厳しく誰何する俺を怯まずに見つめ、はっきりとした口調で話し出す。



