「失礼。ヴィヴィアン、少しよろしいですか」
室内の沈黙と私の妄想を割ったのは、入城してはじめに目通りした侍従長だった。この方は陛下の皇宮生活全般を支え、皇宮の全使用人を束ねる総責任者だ。
「はい。なんでしょう」
高位貴族出身の侍従長は、陛下ほどではないがまずまず立派な尻尾と虎耳を持っていた。私に歩み寄る動きに合わせて、尻尾がふわりふわりと揺れる。
それを見るに、自ずと頬が緩んだ。
「陛下は我ら宮仕えに対し理不尽な要求をしたり、無理難題を押し付けるようなことはしません。しかしそのお立場とお考えから、先ほどのような厳しい言葉や態度を取ることも往々にある。もしそれを苦痛と感じ、勤めの辞退を望むなら、帰りの馬車を手配しましょう。あなたはまだ正式な雇用契約を取り交わしてはいませんので、遠慮は不要です」
「辞退だなんてとんでもない!」
侍従長のまさかの申し出に、弾かれた様に首を横に振った。
「僕はどこまででも、マクシミリアン陛下に付いていく所存です! ですから、間違っても僕に代わって他の近習を重用したりしては嫌です!」
室内の沈黙と私の妄想を割ったのは、入城してはじめに目通りした侍従長だった。この方は陛下の皇宮生活全般を支え、皇宮の全使用人を束ねる総責任者だ。
「はい。なんでしょう」
高位貴族出身の侍従長は、陛下ほどではないがまずまず立派な尻尾と虎耳を持っていた。私に歩み寄る動きに合わせて、尻尾がふわりふわりと揺れる。
それを見るに、自ずと頬が緩んだ。
「陛下は我ら宮仕えに対し理不尽な要求をしたり、無理難題を押し付けるようなことはしません。しかしそのお立場とお考えから、先ほどのような厳しい言葉や態度を取ることも往々にある。もしそれを苦痛と感じ、勤めの辞退を望むなら、帰りの馬車を手配しましょう。あなたはまだ正式な雇用契約を取り交わしてはいませんので、遠慮は不要です」
「辞退だなんてとんでもない!」
侍従長のまさかの申し出に、弾かれた様に首を横に振った。
「僕はどこまででも、マクシミリアン陛下に付いていく所存です! ですから、間違っても僕に代わって他の近習を重用したりしては嫌です!」



