興奮して叫ぶ私に、ユリアが唇に人差し指を添え声を落とすような仕草をし、声を潜めた。
「あ、あぁ。すまない……ん?」
右手を額にあてて眩暈をやり過ごしながら、告げられた台詞に小さな疑問が湧いた。一方で、ユリアが皇太后様付きの女官だったことが思い出され、ますます混迷が深まった。
「皇太后様に気づかれて、とはどういうことだ? なぜここで、マクシミリアン様の生母が出てくるんだ?」
私の問いかけにユリアは表情を陰らせて、ゆっくりと口を開いた。
「私も詳しいことは分からないのです。ただひとつ言えるのは、一連の出来事を裏で糸引いているのが皇太后様だということです」
「っ!! ……なんてことだ!」
詳細を聞かされずとも、アンジュバーン王国との交渉決裂によってマクシミリアン様が厳しい状況に立たされているだろうことは容易に想像が出来る。
しかもその状況に追い込んだのが実の母君となれば、マクシミリアン様の心痛はいかばかりか――!
「マクシミリアン様が一番辛い時にお側にいられないなんて、僕は近習でありながらなんて情けないんだ」
「あ、あぁ。すまない……ん?」
右手を額にあてて眩暈をやり過ごしながら、告げられた台詞に小さな疑問が湧いた。一方で、ユリアが皇太后様付きの女官だったことが思い出され、ますます混迷が深まった。
「皇太后様に気づかれて、とはどういうことだ? なぜここで、マクシミリアン様の生母が出てくるんだ?」
私の問いかけにユリアは表情を陰らせて、ゆっくりと口を開いた。
「私も詳しいことは分からないのです。ただひとつ言えるのは、一連の出来事を裏で糸引いているのが皇太后様だということです」
「っ!! ……なんてことだ!」
詳細を聞かされずとも、アンジュバーン王国との交渉決裂によってマクシミリアン様が厳しい状況に立たされているだろうことは容易に想像が出来る。
しかもその状況に追い込んだのが実の母君となれば、マクシミリアン様の心痛はいかばかりか――!
「マクシミリアン様が一番辛い時にお側にいられないなんて、僕は近習でありながらなんて情けないんだ」



