獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 バクバクと煩いくらいに心臓が鳴っていた。ゴクリと唾を飲み込んで、おもむろに右手の甲を目の前に翳す。
 そうして私は柔らかな毛の感触が残る手の甲を注視して、心の中で叫んだ。
 ……信じられない!! あんな夢のようなモフモフが、現実にあっていいの!?
 実は陛下の去り際、踵を返す動きに呼応して豪華なマントが翻った。さらにマントと一緒に彼の尻尾も大きくうねり、私の右手の甲をフワッと掠めていったのだ。
 ほんの一瞬、毛先が指の付け根のあたりをなぞっただけ。だけどその僅かな接触は、私の手にマックの毛並みも超越するこの世ならざる極上質感を伝え、心を鷲掴みにした。
 す、すごいっ! マクシミリアン陛下の尻尾、なんて、なんて極上のモフモフなの!!
 まるでそれ自体が光を放つかのような純白に白銀の虎模様がクッキリと刻まれたぶっとい尻尾は、長いモフモフの毛が高密度で生え揃い、とんでもなくモッコモコ!
 ……また、触りたい。私、ものすごくあの尻尾を触りたいっ!