「マクシミリアン、決めたぞ」
 馬車に乗り込んでくるや、ガブリエルは不遜な笑みを浮かべて俺の言葉を割った。少々目に余る無作法な態度に、眉間に軽く皺が寄る。
「決めたとはなんのことだ?」
 若干の不満を滲ませて問う。
「当然、国交正常化だ!」
 唐突に告げられた『国交正常化』のひと言に、一瞬我が耳を疑った。
「……本気か?」
 固唾を飲みながら、その真意を確認する。
「ああ! そして我らの国も、ロミエとジュリエッテの祖国のように、国を跨いだ婚姻を可能とするぞ!」
 続くガブリエルの言葉に、俺は目を見開いて固まった。