演技中は心と体が心地よい緊張感に包まれ昼餐ていて、疲れなど感じる隙もなく公演を全速力で駆け抜ける。けれど、一日中ピンと気が張り詰めたままでは、いつか糸は切れてしまう。
 だから心の切り替えは舞台人にとって必須のスキルと言えた。そして、私の張り詰めた心を解きほぐし、癒しを与えてくれるのがこのモフモフの愛猫というわけだ。
 もともと、モフモフの小動物やモコモコでやわらかい物が大好きだったのだが、うっすら虎模様が入ったモコフワの赤ちゃん猫を見た瞬間、全身にビリリと痺れる電流が走り抜けた。手のひらサイズながら体と同じくらい体積がある太くて立派な尻尾(超絶可愛い虎柄入り)に目は釘付けになり、その場で即決して親戚宅から我が家にお持ち帰りした。
「くぅ~っ、なんってモフモフでイケメンなんだ! 一目惚れした尻尾も、今じゃタヌキの尻尾かってくらいのぶっとさのモフモフで……はわぁぁ~、こりゃ堪らん」
「ふしゃっ(怒)」