胸や背も拭いてやろうと解けたリボンの下にあるボタンへと指を伸ばす。小さなボタンを外すほんの些細な動作が、何故か痺れるくらいの緊張感を伴った。
 息を詰め、やっとひとつ目のボタンをボタンホールにくぐらせた。襟ぐりがハラリと緩み、細い首からクッキリと浮かぶ鎖骨が現れる。二番目のボタンにかけようとしていた指がピクリと跳ねた。
 指先が掠めたヴィヴィアンの肌は滑らかで、しっとりと吸い付くよう。さらに火照りを帯びて淡く桃色に色づいた肌からは芳しい香りがふわりと立ち昇り、鼻腔を甘く擽る。
 夜の静寂にドクンドクンと速い俺の鼓動とヴィヴィアンの艶めかしい吐息が響く。彼が醸す圧倒的な色香にくらくらと目眩を覚えながら、その一瞬、俺の脳裏にひどく倒錯的な妄想が過ぎった。
 彼の襟ぐりを大きく開き、その瑞々しい肌に顔を埋めて俺の舌で汗の滴を――。
 っ!? こいつは男だぞ、俺はなにを血迷っている!?