「ほーぅ。なるほどな、そういうわけだったか。やっと合点がいったぜ」
ヴィヴィアンを抱き上げた体勢で固まる俺を見上げ、ガブリエルが訳知り顔でこぼす。酒盛りの最中ならいざ知らず、酔いが醒めた今、彼のニヤニヤと緩んだ笑みは少々不愉快に感じたし、納得しきりの物言いも耳障りだった。
「どういう意味だ」
眉間には皺が寄り、問いかける声も自ずと低くなった。
「ハッ! なぁに、隠すこたぁねえ。お前がその近習に向ける目は、物欲しそうな男のそれだ」
っ!! 耳にして心臓が縮む。
俺自身、自覚したばかりの内心を言い当てられた動揺は大きかった。
「おいおい、そんなこの世の終わりのような顔をするこたぁねえぜ。一国の君主としちゃあ少々問題だが、そこは割り切って世継ぎを産んでくれる女を名目上の妃に据えりゃあいいだけの話だ。俺は少年趣味に偏見なんか持っちゃいねえし、むしろ、それだけの匂い立つような美少年なら俺だって一度くらいはご相伴に――」
「そこまでにしておけ。ヴィヴィアンへのこれ以上の侮辱は、たとえお前でも許さん」
ヴィヴィアンを抱き上げた体勢で固まる俺を見上げ、ガブリエルが訳知り顔でこぼす。酒盛りの最中ならいざ知らず、酔いが醒めた今、彼のニヤニヤと緩んだ笑みは少々不愉快に感じたし、納得しきりの物言いも耳障りだった。
「どういう意味だ」
眉間には皺が寄り、問いかける声も自ずと低くなった。
「ハッ! なぁに、隠すこたぁねえ。お前がその近習に向ける目は、物欲しそうな男のそれだ」
っ!! 耳にして心臓が縮む。
俺自身、自覚したばかりの内心を言い当てられた動揺は大きかった。
「おいおい、そんなこの世の終わりのような顔をするこたぁねえぜ。一国の君主としちゃあ少々問題だが、そこは割り切って世継ぎを産んでくれる女を名目上の妃に据えりゃあいいだけの話だ。俺は少年趣味に偏見なんか持っちゃいねえし、むしろ、それだけの匂い立つような美少年なら俺だって一度くらいはご相伴に――」
「そこまでにしておけ。ヴィヴィアンへのこれ以上の侮辱は、たとえお前でも許さん」



