獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 ちなみに姉様が展開する事業は、前世日本でいうところの物流配送センターみたいなものだ。これまで各商店が高い輸送料を自店で負担して細々と商品を買い揃えていたのを、姉様は近隣商店の発注商品を大型馬車で一括配送するという画期的なビジネスモデルを築きあげた。
 蛇足だが、女の姉様が外向きの仕事をするにあたって名前を借りているのは、婆やの旦那さんだ。やり手実業家と国内外に名をとどろかせる彼の実体は、我が家の庭いじりを趣味兼仕事にする気のいいお爺さんだ。
「……ねぇ、ヴィヴィアン? あなた今、なにか失礼なことを考えなかった?」
 ギクッ!!
「さ、さぁ? なんのことでしょう。母様、マリエーヌ姉様、忠言痛み入ります。ですがご心配には及びません。なにより僕は、マクシミリアン陛下にお仕えできることが楽しみでならないのです。我がモンターギュ家の名に泥を塗ることのないよう、立派にマクシミリアン陛下の近習を務めあげてみせます」