獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 ムッとした表情で唇を尖らせるガブリエルを横目に、俺は力の抜けたヴィヴィアンを横抱きにした。
 っ!? 抱き上げた瞬間、そのあまりの軽さに驚いて体が跳ねた。
 十五歳の少年が、この軽さはあり得んだろう……!? 俺の右手のひらで支える彼の背中は薄っすらと背骨が浮かび、今にも折れてしまいそうに細い。ひざ下に差し入れた左手に感じる両腿も、スラリとして厚みがない。
 しかし、こうも困惑しているのはその軽さばかりが理由ではなかった。彼はその細い見た目からは騒動できないほど柔らかいのだ。さらに、そこはかとなく香る甘やかな芳香はなんなのか……。
 体温が上がり、ジンジンと頭が痺れる。血の巡る音がドクンドクンと煩いくらいに、鼓膜に響いていた。
 初めはその華奢過ぎる体格に、ヴィヴィアンが今にも儚くなってしまうのではないかと心配になった。けれど今は己の内から湧きあがる自分本位な欲望が俺を当惑させた。
 彼の軽さと柔らかさが、猛烈に俺の性感と背徳感を刺激する。ぞわぞわとした性的な高揚を覚えながら、ゴクリと生唾を呑み込んだ。