なにより、朝の時間に慌ただしくするより、あらかじめ用意を済ませておいた方が、マクシミリアン様に少しでも長く休んでいただけると思った。
「交換も済みましたので、僕はこれで下がらせていただきま――」
振り返って事情を説明しながら、ふとマクシミリアン様の後ろに第三者の存在を認める。
……え!? マクシミリアン様の一歩後ろから私を見下ろす人物は、筋骨隆々の逞しい体躯に、アンジュバーン王国の民族衣装であるカフタンと呼ばれる前あきの長衣を身に着けていた。カフタンはひと目で一級品と分かる絹のつづれ織りで、裾には銀糸で緻密な刺繍があしらわれていた。
しかし衣装よりなにより、赤茶色の短髪とヘイゼルの瞳、蜂蜜色の肌をした人物はその存在感が際立っていた。名乗りを受けずとも、すぐにその正体が知れる。
ガブリエル陛下だ……!!
目を丸くして固まる私に、その人はズイッと顔を寄せると、白い歯を見せてニッカと笑う。
「ほぉー! こりゃあ可愛い坊主じゃねえか! その顔はもう察しがついていそうだが、俺はアンジュバーン国王ガブリエルだ。お前の名は?」
「交換も済みましたので、僕はこれで下がらせていただきま――」
振り返って事情を説明しながら、ふとマクシミリアン様の後ろに第三者の存在を認める。
……え!? マクシミリアン様の一歩後ろから私を見下ろす人物は、筋骨隆々の逞しい体躯に、アンジュバーン王国の民族衣装であるカフタンと呼ばれる前あきの長衣を身に着けていた。カフタンはひと目で一級品と分かる絹のつづれ織りで、裾には銀糸で緻密な刺繍があしらわれていた。
しかし衣装よりなにより、赤茶色の短髪とヘイゼルの瞳、蜂蜜色の肌をした人物はその存在感が際立っていた。名乗りを受けずとも、すぐにその正体が知れる。
ガブリエル陛下だ……!!
目を丸くして固まる私に、その人はズイッと顔を寄せると、白い歯を見せてニッカと笑う。
「ほぉー! こりゃあ可愛い坊主じゃねえか! その顔はもう察しがついていそうだが、俺はアンジュバーン国王ガブリエルだ。お前の名は?」



