獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

「私はかつて、病床のお父様を失意のまま逝かせることがどうしてもできず、大きな過ちを犯しました。あれから十五年が経ち、私はあなたの犠牲で成り立つ当家の存続を望みません。あなたが本来の性別を取り戻すことで、モンターギュ家が後継ぎ不在となり断絶しようとも本望です。だから私の可愛いヴィヴィアン、無理だけはせず、いつでも戻っていらっしゃい」
「お母様……」
 もしかするとお母様は、皇宮から近習の打診を受けた時、既に私の秘密をつまびらかにする覚悟を決めていたのかもれない。
「お母様の意図するところとは違うけれど、『いつでも戻っていらっしゃい』という台詞には私も賛成よ。問題を起こすくらいなら、いつでも帰ってきなさい」
「マリエーヌ姉様……」
 前出の通り、ヴィットティール帝国の現在の法律では、女は家名を継承できない。この為、お母様は六回目の出産で病床のお父様に事実が伝えられず、生まれた私の性別を男と偽ったのだ。