獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 この揉み込む作業がまた、ビリビリと痺れるように気持ちいい。
 ……ん? ビリビリと痺れる?
「あの、マクシミリアン様!? 尻尾が痺れているようですが、不快感がございますか?」
 ビリリと毛を逆立たせ痺れた様相の尻尾に気づき、慌てて声をかけた。
「気にするな」
「でも――」
「気持ちいいとこうなる」
 言い募ろうとする私に、マクシミリアン様は早口に答えると、私から頬を隠すようにプイッと顔を背けた。
 ……気持ちいい? マクシミリアン様が今、気持ちいいって言ったよね!?
 うわぁあぁ~! ものすごく嬉しい!
 私は内心の高揚をひた隠し、雑念を追い払い、一心不乱にマッサージに励んだ。
 心なしかマクシミリアン様の頬は紅潮して見えたし、吐き出す息も速いような気がしたが、「いかがですか?」と加減を問えば「大丈夫だ」と返るから、そのままマッサージを続けた。
 尻尾も相変わらず、終始ビリビリとしっ放し。しかし、これが「気持ちいい」時の反応だと聞いていればこそ、私はますます丹念に撫で上げて、ブラシで丁寧に梳っていった。
「終了です」