獣人皇帝は男装令嬢を溺愛する ただの従者のはずですが!

 ……う、うっ、うわぁぁあぁぁ~~っ!
 ひと撫でした瞬間に、極上モフモフに蕩ける。
 なんだこの、この世ならざる幸せモフモフ質感!? これは、反則級にあり得ない!
 手指に伝わった多幸感は全身に巡り、思考まで蕩けそうになった。
 だけど、それもそのはず。マクシミリアン様の尻尾はブラッシングする前から、フワフワのツヤッツヤ。とにかく、驚くほど繊細で滑らかな毛質をしていた。
 いつもよりちょっと元気がない状態でこれなのだから、元気なときの触り心地はいったいどれほどモコモコなのか。想像だけで、思わずゴクリと喉が鳴る。
 とにかくマクシミリアン様の尻尾は、他の追随を許さぬ天上のモフモフで間違いなかった。
 ……ダ、ダメだ! 今はモフモフに蕩けている場合じゃない。マッサージに集中しなくっちゃ!!
 ともすれば気が遠くなりそうな自分を叱咤して、意思の力でマッサージを開始する。
 尻尾の表層にスプレーし、手指で成分が全体に行き渡るように揉み込んでいく。
 あ、あっ、あぁあぁあぁ~~。