「えっ?」

「何々?」

突然の物音にみんな戸惑いの表情を浮かべている。蘭は自身の唇に指を当てて黙るように指示をした。無表情の蘭の指示にみんなどこか怯えながらも従う。

「Hello everyone!ようこそ、楽しいゲームの世界へ」

スピーカーから誰かの声が聞こえてくる。蘭は目を見開き、さらに警戒の色を濃くしていく。今、スピーカーに向かって話しかけているのはアーサーだ。

「ゲーム?」

「みんなでマリオカートで勝負でもするのか?」

「ええ〜。私、ゲームするんだったらポケモンがいい」

ゲームという単語が出たからか、子どもたちから緊張がなくなり、勝手に盛り上がり始める。蘭はナイフを握る手に力を入れた。

アーサーという人間が楽しいゲームに誘うわけがない。ここから先に待っているのは、きっと恐ろしいほど残酷な展開だ。それをあの銃撃事件から蘭は学習している。

「今から行ってもらうゲームは脱出ゲーム!鬼が君たちの命を狙っている。鬼に殺されずに脱出できたら勝ちだよ。じゃあ、頑張れ」

そう言われた後、プツンと放送が切れる。蘭が子どもたちを見ると、子どもたちはのん気に笑っていた。