初めて入ったわ。統一感があって、とてもセンスが良い。ベルナルド様が厳選したアンティークを置いているのかしら。

 呼びつけた本人は、深紅のソファに腰掛けていた。

 髪の毛も肌も白いシルエットで暗い部屋とは対極の色彩だが、豪華な部屋の雰囲気に調和しており存在感がある。


「あの、どんなご用でしょうか?また夜会の招待状でも?」

「この距離で話すつもりか?こっちへ来い」


 長い指がソファの隣をトントンと指した。あえて近づかないでいたのがバレたらしい。

 気まずいながらも歩み寄って座ると、彼は静かに語りだす。


「新たな仕事が入ったわけではない。お前に尋ねたいことがあるから呼んだのだ」

「なんでしょう?」

「なぜ、最近庭に来ない」


 ぎくり。

 澄んだ黄金の瞳がこちらをとらえた。覗き込まれて言葉に詰まる。

 まさか、こんな直球で聞かれるとは。しどろもどろになる。