月明かりが彼を照らした。艶のある銀色の髪の間から、オオカミのような立派な耳が生えている。足元にはモフモフの尻尾の感触がした。
動揺のあまり言葉を失うと、彼は獲物をとらえた獣のように私の首筋に顔をうずめる。耳元で「ぐるる」と低い声がした。
喉を鳴らしているの?これって、もしかしなくても……
獣人であると気づいたときには遅かった。ざりざりとした舌が首筋に這う。逃げようするものの、たくましい腕と体にかかる重さで動けない。
「ひゃっ」
首に牙がたてられた。しかし覚悟した痛みはなく、何度も角度を変えて甘噛みされる。ぞくぞくと全身がしびれて思考がとろけた。
肉食の獣を目の前にした恐怖ではない。本能で求められているようで、全身が熱くて恥ずかしさで死にそうだ。
「ベルナルド様!私は餌ではありません!」
声を上げると耳をなめられた。柔らかな舌の感触に、体の力が抜けて抵抗できない。レンテオさん達を目覚めさせた茶葉も手元になかった。


