悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



「ベルナルド様!」


 急いで駆け寄ると呼吸はしっかりしていた。目を閉じて眠っているようだ。疲れて休んでいたのだろうか?

 視線を落とすと、左の手のひらから血が流れている。私を守るために刃を握った傷だ。

 痛かったに決まっている。私に刃が当たらないように、あえて掴んだ優しさだとわかっていた。

 幸い深くはないようでほっと胸を撫で下ろす。ハンカチを傷口に当ててきつく結んだ。そして、ソファの近くにしゃがみ、寝ている体を揺する。


「ベルナルド様、起きてください。レンテオさんたちは全員無事です」


 すると、わずかにまぶたが持ち上がった。まだ寝ぼけている様子の黄金の瞳が目の前で揺れる。

 良かった。意識はあるみたい。

 このまま肩を貸して運ぼうかと考えた瞬間、掠れた声が耳をくすぐる。


「エスター……?」


 驚きと幸福感で呼吸が止まった。

 今、初めて私の名前を呼んでくれた?

 しかし、返事をしようとした途端、背中に回された手に力強く引き寄せられる。


「わっ!?」


 気がつけば彼は頭上にいて、寝ていたはずのソファに押し倒されたのだと理解した。

 なにが起こっているの?