強烈な苦味に酔いが覚めた彼は、ぺっぺっと舌を出して顔を歪めている。完全に覚醒した様子だ。
「よかった、気がついたんですね」
「え、エスターちゃん?最悪な目覚めだけど……これはなに?」
「棚にあった紅茶の葉です。この種類は、お湯に入れるとスッキリした味わいの美味しいお茶になるんですが、そのまま食べるととてもまずいんですよ」
事情を説明すると、全てを理解したレンテオさんは険しい顔で腕を組んだ。
会場で警備に当たっている最中にモンペリエ国のメイドにドリンクを勧められ、全員がルビ草の酒だと知らないまま酔わされてしまったらしい。
ベッドに寝転んでいた他の四人も同じやり方で無理やり起こしたが、体の異常はないようだ。肉食の彼らには、ルビ草の効果よりもまずい茶葉のほうが刺激が強いと学んだ。
いまだに苦味と戦っている様子のレンテオさんに尋ねられる。
「そうだ、陛下は無事なのか?」
「会ったときは無事でした。でも、首謀者を捕らえるときに手に怪我を負わせてしまって、皆さんを起こすために別れたあとはわかりません」
「陛下もきっと酒を勧められたはずだ。ルビ草の酒は度数が強い。早く迎えに行こう」


