悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



 ベルナルド様の動きが止まった。

 それは初めてみる動揺の表情で、視線は絡み合って逸れない。心臓がドクドクと鈍い音を立てた。

 また、意見をした私に怒るかしら。俺に甘い幻想を抱くなと睨まれるかもしれない。

 一瞬首を掴まれた記憶がよみがえるが、今は違う気がした。彼の中には、たしかに獰猛な獣がいる。それでも、慈悲を完全には捨てていない。

 静まり返る廊下に穏やかな声が響く。


「誰に裏切られようとも、心を閉ざしていたとしても、私はあなたのヒトの心を信じます」


 願いを込めて一瞬だけ背中を抱きしめ、その場を立ち去った。

 レンテオさんたちの救出は一刻を争う。あの二人組の他に仲間がいたとしたら、酔っ払って身動きの取れない彼らは命が危ない。

 廊下の突き当たりにあった階段を駆け上がり、二階を探す。ベッドルームはすぐにわかった。ノブに手をかけると、扉は空いている。


「レンテオさん!」