陛下は躊躇なく私の喉元に突きつけられている短剣の刃を掴み、奪い取った。
血の匂いが鼻を刺したとき、無駄のない動きで敵を仕留めた陛下によって、若い男が地面に転がされる。
男性の片手を縛り上げるように固めたベルナルド様は、ドスの効いた声でうなる。
「俺の連れをどこへやった」
「ひ、東棟の二階だ。階段を上がって、すぐのベッドルームに」
黄金の瞳が素早く私をとらえた。
「こいつらは始末しておく。今のうちに叩き起こしてこい」
冷たいセリフに、はっとした。つい、マウントを取る彼の背中にすがりつく。
「この人たちの命を奪ってはいけません。警察に引き渡しましょう」
「なにを生優しいことをぬかしている。お前は今殺されかけたんだぞ。弱肉強食、それが全てだ。警察も、モンペリエ国の機関は信用できない。この世の誰もが俺たちを裏切るに決まっている」
「それでも、あなたに悪役になってほしくないのです」


