悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



 やがて、オーケストラの演奏とともにダンスが始まった。ワルツのテンポに合わせてステップを踏む。

 エスコートをするベルナルド様は相変わらず涼しげな顔をしているが、一度もミスをしない私を見て、心なしか視線が柔らかい気がした。


「よろしければ、一曲お相手願えますか?」


 三曲踊り終えた頃、初めて声をかけられる。モンペリエ国の若い貴族だ。ベルナルド様は、挨拶程度の礼をして離れていく。

 他人と踊れてこそ、一人前である。「ぜひ、お願いします」と微笑むと手を取られた。貴族の彼は幼い頃から指導を受けているのか、なかなか実力が高い。

 時折り難しいステップをされて足元が危なくなるものの、練習の成果もあって相手を踏みつけはしなかった。


「ありがとうございました」


 できた。ミスなくやりきった。私、ちゃんと踊れたよね?

 二曲ほど踊り、挨拶をして別れる。感動で嬉しさに包まれる中、壁際で腕を組むシルエットが目に入った。

 黄金の瞳と視線が合った瞬間、彼はかすかに口角を上げる。