翠色の瞳が興味深そうにこちらを見つめる。


「へぇ、君が噂の婚約者かぁ。恋愛には淡白そうな陛下が、古城に囲って入り浸るほど惚れ込んでいるとはね。たしかに、すごい美人。違う出会い方をしてたら速攻口説いてた……とか言ったら殺されるな」


 冗談まじりに笑った彼は、気さくで少々軽い性格らしい。


「レンテオさんは、ベルナルド様をお探しなんですよね?いつもは自室にいらっしゃるそうです。ボナさんに伝えておきましょうか?」

「え?自室?」


 そのとき、ラヴィスが体を起こしてテラスへ入った。城の中に消えるシルエットを眺め、レンテオさんが呟く。


「あの、アレは……」

「ラヴィスはベルナルド様のペットらしいです。ご存じではなかったですか?」

「ペット!?あははっ、そういうことか!エスターちゃんはすごいね」


 なにが笑いのツボに入ったのだろう?

 なんらかの事情を察したらしい彼は楽しそうだ。首をかしげていると「時が来ればわかるよ」と誤魔化される。