正面にしゃがんだ彼は目線を合わせ、まっすぐこちらを見つめていた。曇りのない黄金の瞳に吸い込まれそうになる。
「ボナが余計な話をしたな?俺が剣を抜き、命を奪ったのも事実だ。また俺に甘い幻想を抱くなら、すぐ裏切られるぞ」
「幻想ではありません。ベルナルド様はやっぱり優しい方です」
「お前のような楽観的な子兎、ここを出た獣の世界ではすぐ食い殺されるだろうな」
ぱっと手を離され、心から呆れたため息が聞こえた。
楽観的でいいじゃない。私が経験した全てが真実だもの。無慈悲な彼のヒトの心を信じたい。
「あの、これをもらっていただけませんか」
ポケットから出したのは、淡いピンク色のコロンだ。花の香りが広がる爽やかな匂いで、ボナさんにも好評だった。
「今までお世話になったお礼です。色々とありがとうございました」



