私が勝手に使わせてもらった薬室の管理人は、ドミニコラという名前らしい。癖のある男性だと聞いていたが、村の人達からは信頼されて良い関係を築いているようだ。
挨拶を終えて城に戻ると、陛下は玉座で待ち構えていた。
「渡したか」
「はい。ちゃんと症状は軽くなって、快方に向かっています」
無表情ながらも、陛下は心なしか穏やかである。
「はじめから、あの子のために薬を作る予定だったんですか?」
「持って一週間だと、話を聞いたボナが言っていた。国民の命は皆ひとしい。お前の腕で救える命なら救うべきだと判断したまでだ」
命を軽んじていると決めつけていたのは間違いだった。
やはり、彼は優しい。
不在の薬師に代わって解毒薬を作らせて子どもの命を救い、私の実力も見定めた。間に合って良かったというのは結果論だが、陛下は私に賭けてくれたのだ。それが、少し嬉しい。



