その瞬間、奥さんの目が輝いた。涙を浮かべて手を取られる。
「あぁ、ありがとう。ドミニコラ様が不在だと聞いていたから、薬が間に合うとは思わなかったわ。どうぞ、中へ入って」
家の中は木製の家具が並び、生活感にあふれていた。奥の部屋でベッドに横たわるのは小さな子どもだ。呼吸が浅く、顔が青白い。
すぐにルカロ草の症状だと察した。
奥さんが薬を飲ませると、やがて頬に赤みが戻る。家族や集まってきた村人たちに歓声が上がった。
「食材に誤ってルカロ草が混じっていてね、日に日に弱って、今夜もうダメかもしれないと覚悟していたの。この薬は、あなたが作ってくれたのね?命の恩人だわ。本当に感謝しきれない」
「いえ、助かってよかったです。この町に医者はいないのですか?」
「都市から離れた小さな農村だからね。いつもなにかあったときは、城の薬師であるドミニコラ様に診てもらっているの」



