町の人たちは、誰もが同じセリフを言う。

 ひとり静かに手のひらを握りしめて感情を落ちつけた後に顔を上げると、更衣室の鏡に見慣れた自分の容姿が映った。

 白く透き通った肌に、肩甲骨まで伸びたアイボリー色の髪。アーモンド型のくっきりとした二重の瞳はサファイアのような青い輝きを閉じ込めている。

 身長は女性としては平均くらいだが可愛らしいカティアに比べれば高く、目鼻立ちが整っているため、ひとたび町を歩けば通行人が目をとめることもしばしばあった。

 嫌われて厄介者みたく扱われるなら、いくら美しいと褒められても少しも嬉しくない。

 もともと孤児だった私は、この町に住むランジェット夫妻の養子だ。夫妻はとても優しく、まるで本当の子ども同然に育ててくれた。

 幼い頃から植物が好きで、様々な薬草が人の命を救う力があると知ってからは薬師という職業を夢みて勉強を続けた。そして、二十歳になって今の仕事につき、二年経つ。

 収入で夫妻の家計を支えるためにも、仕事を続けるためにも、グレイソンの植物園からは離れられない。いくら悪評をたてられようと、心を殺して生きると決めている。