悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました

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「これが、ルカロ草の解毒薬です」


 謁見の間で、片膝をついて差し出した。

 玉座に腰掛ける陛下は初日と同じく悠々とこちらを見下ろしている。

 期限通り、無事に薬は完成した。サンプルの毒と混ぜ合わせても薬効は確かで、品質は保証されている。

 黄金の瞳が薬の入った小瓶を眺め、やがて低く告げた。


「今から言う者の家へ届けてこい。騎士に案内させる」


 短い命令に、困惑する。

 説明もなく、例の監視付き騎士に連れてこられたのは、森を抜け、城から少し離れた位置にある農村だった。民家のほとんどが平屋建てで、屋根はすぐに吹き飛ばされそうなほど粗末だ。

 しかし、寂れていそうな村も人々の温かさにあふれており、貧困で毎日が苦しいというわけではなさそうである。


「村に入って左手の家の主人に渡して欲しいそうです」


 伝えられるまま家の扉を叩くと、玄関に現れたのは若い奥さんだ。薬をみせながら怪しい者ではないと説明する。


「突然お邪魔してすみません。私は森の奥の城に置いてもらっているエスターと申します。これ、ルカロ草の解毒薬なのですが……」