「ボナさん。獣人ってなんですか?」
「ヒトにも獣にも姿を変えられる種族さ。エピナント国では圧倒的にその割合が多くてね。ここの使用人は全員エルフだけど、城の騎士団はみんな獣人よ」
話によると、獣人はヒトよりもはるかに強い力を持ち、エピナント国は屈強な騎士団によって勢力を強め、他国からの侵略を防いでいるらしい。その指揮を取っているのが、他でもないベルナルド陛下だ。
もしかして、嵐の夜に出会った野犬の群れが獣人だったのか?
私を守るために、剣を抜いたんだ。
『あなたに、ヒトの心はないのですか』
ひどいセリフを浴びせてしまった。なにも分かっていなかったのは私だ。勝手に理想を押し付けて、理解したつもりになっていただけ。
「大丈夫だよ。私は、エスターが怒ったのを見て感動した。今までは、誰も逆らおうとした者はいなかったからさ」
ボナさんの励ましに少し心が軽くなる。
明日、ちゃんと謝ろう。彼と話せるのも最後だ。今までの感謝も伝えたい。
そうして、城で過ごす最後の夜が明けた。



