悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


 皆、口々にそう言った。

 やはり、彼は無慈悲な獣なのだろうか。誰も、陛下をヒトとして見ようとしない。

 遠くの彼に少し近づけたと喜んでいたら、その間に深い谷があり、飛び越えるのが不可能だと突きつけられた気分だ。

 夕食を終えてシャワーを浴びてもすっきりせずに部屋で落ち込んでいると、ボナさんが訪れた。


「悪く思わないであげて。あれは、エスターのためにやったんだよ」

「どういう意味ですか?」

「最近、城の周りをウロつく怪しい獣人たちがいてね。ラヴィスがエスターを助けて拾ったのが原因で、目をつけられたみたいなの。ただでさえ、一国の王様がこんな辺境の古城に長い間滞在しているのは奇妙でしょう?エスターが寵愛を受けている傾国の美女だと噂も流れているんだ」

「私が、傾国の美女!?」


 つまり、使用人ではない私がこの城にかくまわれているせいで、知らず知らずのうちに狙われて、陛下に迷惑がかかっていたというの?

 傾国の美女だなんて、膨れ上がったデマにも程がある。あのベルナルド陛下が国政もままならないほど私を寵愛していると、誰が信じるのだろう。数えるほどしか話していないのに。