部屋を用意して、着替えも食事も与えてくれる。ペットに触るのも許してくれた。
もしかしたら、噂以上に冷酷ではないのかな。
そのとき、ラヴィスはぴるるっと耳を震わせ体を起こした。険しい表情で森を睨んでいる。
「ラヴィス?」
声をかけるが、素早く庭から立ち去ってしまった。ゆっくり話せる最後の日なのに残念だ。
ひとり残された私は、小さく伸びをして薬室に戻る。蒸し器は完全に仕上がっており、薬は一晩熟成させればさらに効果が期待できそうだった。
ここで薬師として働けたら、どれだけいいか。
そんな甘っちょろい考えが浮かび、苦笑した。城に来た日は早く薬を完成させて逃げたかった。でも、使用人の人たちやラヴィスと触れ合うたびに情が湧く。
触れられたくない過去があると察して、素性も聞かずに接してくれる優しさに救われた。
ベルナルド陛下とはあまり話せなかったけど、最後にお礼くらいしたいな。



