悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました

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「エスター様、起きてください。もうすぐ日が暮れます」


 若い男性の声に、はっと目を覚ました。陛下の命で私を監視する騎士だ。空は夕焼けの赤に染まっていて、地平線は瑠璃色が混じっている。

 うそ、あのまま寝ちゃったの?

 そこにはすでにラヴィスの姿はなく、代わりに薄い毛布がかけられていた。騎士を見上げるが、彼がかけてくれたわけではないらしい。

 ラヴィスがかけてくれたとか?いや、まさかね。


「薬室にいらっしゃらないので、心配しました。ここは城の中でも使用人があまり立ち入らない陛下のプライベートな庭ですので、今後は出入りしないほうが良いですよ」


 柔らかく注意されて、肝が冷えた。

 たしかに、ペットに勝手に触れて、そのうえ枕にして寝たなんて知られたら、期限日を待たずに首を飛ばされていたかもしれない。

 忠告を胸に頷き、いつも通り夕食をとった。しかし、今までと違ったのは、シャワーを浴びて自室に戻ったときだ。

 薬室から借りた文献を部屋で読み進めておこうと机に積み上げ、ランプの明かりをつけた瞬間に小さく扉がノックされる。


「子兎。開けろ」