ラヴィスは、相変わらず何も反応がない。ただじっと目を閉じて、耳だけこちらに向けている。
「あなたは優しいね」
ゆっくりとまぶたが持ち上がり、黄金の瞳が私をとらえる。
「怖い獣だと思っていたのを謝るわ。あなたは命の恩人で、私が本音を話せる唯一の友人よ」
ラヴィスの感情はわからないが、今までの警戒の色はまるでなかった。少しは心を許してくれたのだと信じたい。
「ねぇ、近くに行ってもいい?」
そう尋ねると、ラヴィスは心なしか顔をしかめたが、プイと目を逸らしてまた眠った。逃げも拒絶もしない。
静かに近づくと、先ほどみたく威嚇はされなかった。モフモフの毛並みに心が躍り、つい手を伸ばす。
「がぅ」
頭を撫でると、ぴくんと反応したラヴィスに小さくうなられた。びっくりさせてしまったらしい。
「あっ、ごめんね。とても気持ちよさそうで触りたくなったの。すごい。艶があって、ふわふわで温かい。ベルナルド陛下がブラッシングしてくれるの?」



