すると次の瞬間、ギロリと睨まれる。
はっとして、慌てて訂正した。
「ごめんなさい。あなたはヴォルランっていう生き物なのよね?……それより、私の言葉がわかるの?頭がいいのね」
やはり返事はない。
さすがに獣といえど、一方的に話しかけられては迷惑かもしれないが、久しぶりに心許せる相手ができて、つい本音がこぼれる。
「私、育ての親以外でこうやって自分の話を聞いてもらえる存在に出会ったのは初めてなの。住んでいた町で、やってもいない人殺しの罪を被せられて、追放されたくらいだから。何度訴えても、私を信じる人はいなかったんだ。『お前はヒトの男をたぶらかした悪女だ』って。ひどいでしょう?」
じっと黙って聞いてくれているラヴィスに甘えて、言葉があふれて止まらない。
グレイソンという男性に言い寄られて、その婚約者であるカティアに恨まれたこと。毒の入っていた小瓶を仕込まれて、犯人扱いされたこと。
ずっと長い間、外見でしか判断されず悪い噂をたてられて、悪口を浴びせられて生きてきたこと。育ててくれた大好きな人を守るため、縁を切って町を出たこと。
体の中に溜まっていた全てを出し尽くした。



