つい声をかけながら近寄ると、眠っていたはずの黄金の目がカッと開いた。警戒の声でうなられて、足が止まる。
「ごめんなさい、驚かせるつもりはなかったの。傷つけるつもりもない。ずっとお礼をしたくて探していたのよ」
いまだに警戒を解かない獣を刺激しないように、距離をとって座った。
「嵐の夜に、私をこの城まで運んでくれてありがとう。あなたが野犬を追い払ってくれなかったら、きっと今頃死んでいたわ。……まぁ、命の危険にさらされているのは今も変わりないけど」
穏やかに話しかけていると、やがて慣れてくれたのか警戒から日向ぼっこの体勢に戻った。耳はこちらを向いているので、声はちゃんと聞こえているようだ。
「私、エスター。ボナさんから聞いたけど、あなたはラヴィスっていうのよね?ベルナルド陛下に飼われているの?」
ヒトの言葉がわからないのか、返事はない。ただ逃げる様子もなく、純粋にこの状況が楽しくなってきた。
「本当に綺麗な毛並み。こんなに大きなわんちゃんは初めて見た」



