そして、やっと調合の素材が揃ったのは、城に来て三日目の昼だ。
「あぁ。何度やっても濃度が合わない。どうして?計算は間違っていないはずなのに」
完成した試作品をルカロ草の毒素と混ぜて薬効を確認するが、どうしても効果が薄かった。順調に進んできて、初めて壁にぶち当たる。
ダメだ。少し外の空気を吸って、気分転換をしよう。城の敷地から出なければ、殺されないよね。
植物園を出て庭を歩きながら考え事をする。頭に浮かんだのはベルナルド陛下だ。
こんな国境の城に住んでいるとは驚いた。エピナント国の中心部にある王都には、荘厳な城が建っているはずだ。どうしてわざわざこんな辺鄙な場所で生活しているのだろう。
彼については“すぐ人を殺そうとする、にこりともしない冷たい男性”というイメージしか持っていない。
「あれ?」
そのとき、ひとけのない城の裏手に広がる芝生の上に、大きな白いかたまりが丸くなっているのに気がついた。
艶のある毛並みが風に揺れ、気持ち良さそうに日向ぼっこをしている。
「やっと会えた!」



