「ベルナルド陛下にお話を聞いたときは驚いたわ。まさか、エスターが王妃になったとは想像もしていなかったもの」
「元気そうでよかった。もしも再会できたら王都に借りた新しい家に呼ぼうかと思っていたけど、心配はいらないみたいだな」
彼らは、親元を離れた私に穏やかな視線を向けた。ふたりの手を取りながら笑い返す。
「不安にさせてごめんなさい。でも、私、やっと幸せになれたわ。お父さんとお母さんにも、これから親孝行させてちょうだいね」
すると、やりとりを見守っていたベルナルド様が、玉座から立ってランジェット夫妻に歩み寄る。
「城内にも自由に使える部屋を用意しましょう。広い家が良ければ使用人付きの屋敷もあります。食費など生活にかかる金は私につけてください」
「そっ、そんな恐れ多い。質素な暮らしで充分です」
貴族らしく敬語を使うベルナルド様を初めて見た。義理の息子に話しかけられるたびに「ひぃ」となっている夫妻が可愛らしい。
これからたくさんお話ししよう。私の愛する旦那様は怖い噂とは真逆の素敵な男性なんだって。
そのとき、彼に優しく肩を抱かれた。
「それと、ご挨拶が遅れましたが……エスターを生涯の伴侶として迎えようと思っています」
ランジェット夫妻はまばたきを数回した後、真剣な表情で言葉の続きを待つ。
「私に生きる希望をくれた彼女を心から愛し、守り抜くと誓います。結婚の許可をいただけますか」



