悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました

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「やぁ、エスターちゃん。久しぶり。陛下と正式に婚約したんだって?おめでとう」


 ひと月後。王都の城に呼ばれて向かうと、レンテオさんが挨拶をしに来てくれた。

 漆黒の髪と翠の瞳は、ブルトーワ国の式場で見た黒猫と一緒だ。


「この度はご迷惑をおかけしました。ありがとうございます」

「いやぁ、楽しかったよ。俺を不吉な黒猫呼ばわりした男にはイラッとしたけど。チャペルでのやりとりも生で見たかったな」


 完全に傍観者として楽しんだ様子の騎士団長は、騒動を思い出してニヤリと口角を上げる。

 小瓶の中身を水にすり替えて騙すアイディアは、ドミニコラさんの入れ知恵らしい。

 全ての経緯を知っていた彼がベルナルド様に助言したそうだが、お礼を言いに行くと『僕は性悪だからねぇ。大切な人たちが幸せならそれで満足なんだ。主を悪役にしないであげて』と軽く笑われた。


 実はブルトーワ国での一件後、すぐにグレイソンが謝罪もかねてレドウ草を古城に届けに来たため、正式に病を治す方法が生まれたことで演技がバレずに済んだ。

 そして、チャペルで私を刺そうとしたカティアは再び捕まり、追放ではなく牢へ投獄されたと聞いた。

 とても同情はできないが、今後は憎しみや嫉妬から切り離された生活を送ってほしい。