動揺してまばたきをする私に、低い声が降ってきた。
「チャペルで割ったのは水の入った小瓶だ。お前に理不尽な契約を持ちかけた男に見せつけるために芝居をした」
「つまり、病気は治ったのですか?」
「あぁ。この体から王家の呪いは消え去っている。契約を無効に見せかけるために騙して連れ去ることになったが仕方ない」
愛しげな視線が私を射抜く。
「俺は悪役だからな。お前をそばに置くためなら、なんだってするんだ」
こんなにも甘やかしてくる悪役がどこにいるのだろう?強引だけど嬉しくて、行動を責められない。
「愛している。俺の妻になれ。お前のためだけに俺は今一度、愛を持ったヒトに戻ろう」
たくましい腕に捕らえながら熱のこもった瞳で見つめて、逃がす気はさらさらないんでしょう?
私は、もうとっくに落ちている。
「はい。ベルナルド様とずっと一緒にいたいです。私より一秒でも長く生きてください」
「愚かな子兎め。お前を残して死んでたまるか」



