すごい。すごいわ。
図鑑や古文書に載っていた植物ばかり。しかも、手入れが行き届いていて保存状態もいい。ここの管理人は、とても腕がいいのね。
感動して眺めていると、植物園の中の小さな小屋に案内された。丸太を積み重ねたログハウスで、中は薬品の棚が並んでいる。
フラスコ、ガスバーナー、顕微鏡など、備品も多く揃っているようだ。得体の知れない練金壺は、いったい何に使うんだろう。
「ここは、ベルナルド陛下が管理しているんですか?」
「いえ。薬師がいらっしゃるのですが、今は不在で……彼はふらりとどこかへ消える癖がありますので、陛下から薬室は好きに使っていいと伝言を承っております」
なるほど。この城の薬師は、少々癖の強い男性のようだ。走り書きのメモが至るところに貼ってあり、化学式が難解で読み解けないものもある。
植物園や薬品の管理方法、積み上げられた論文や書籍から相当の実力者であるとうかがえた。
会えたらぜひ教えを乞いたいが、騎士の口ぶりから察するに、おそらく五日以内には戻らないだろう。
案内の騎士は「夕飯の時間にお迎えにあがります」と出て行った。もてなされているようにも感じたが、ベルナルド陛下の命で監視しているのかもしれない。
逃げ出したりしないのに。



