悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



 揺らがない返答は予想通りだ。ダメもとで交渉を持ちかけるが、聞く耳を持たない。


「どうしてそこまで私を妻にしたいの?昔も仲良くしていた記憶はないでしょう?」

「もちろん、君が美しいからさ。金目当てに寄ってくる女は興味がない。地位のある男はそれなりに釣り合う妻をめとらなくてはならないんだ。エスターを連れているだけで、俺の一流のオーラに磨きがかかる」


 つまり、単なるお飾りとして私を連れ歩きたいという意味?羨望の眼差しを向けられて自分がもてはやされたいからって、利用するつもりなのね?

 たったそれだけ。この人は、内面をひとつも評価する気はない。愛していると告白したわりに、気持ちはひとつもこもっていないんだ。

 屈辱だが、恥を捨てて頭を下げる。


「救いたい患者がいるの。レドウ草が必要で、すぐ薬を作らないと手遅れになるわ。私はあなたを好きになれないまま条件をのめない。どうしても、他の方法じゃダメ?」