悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました


 恐怖のあまり声が震えた。

 びくともしない力で床に押し倒され、喉元を剣で貫かれそうになっている。目の前の男性は、紛れもなく慈悲の心を持たない冷酷な獣だ。

 ひとことでも疑われるセリフを口にすれば、一瞬で殺されるだろう。


「私は、武器を握った経験もないただの町娘です。薬師として働いていました」

「なぜ、あの森にいたのかを聞いている」

「家に帰れなくなってしまって、道に迷って……スパイではありません。信じてください」


 ベルナルド陛下は、冷たい眼差しで続けた。


「俺は温情で行き倒れたお前を拾って介抱したわけではない。命を狙いに来た刺客か情報を盗みに来た諜報員かと疑って、生け捕りにしたまでだ。お前のような子兎を始末するのは容易(たやす)い」

「私は薬師なんです。下心なんてありません」


 目を逸らしたらいけない。少しでも怖気付いた瞬間、この獣に食べられる。

 すると、体の上の重さが引いた。喉元から切先を下ろし、氷のような視線で射抜かれる。


「口だけの言葉は信用しない。己の価値を示し、身の潔白を証明してみせろ」

「価値?」