信じられないセリフに力強く言い切る。
「誰が敵のスパイとして働くものですか。ベルナルド様達の命を奪おうとする奴らの命令になんか、死んでも従いません」
いらだった男性が剣を振った。避けるものの、切先が首をかすめ、まともに切られた長い髪がぱらぱらと床に舞う。
痛みを感じる余裕もない。いつ死ぬかわからない今、私にできるのは時間稼ぎだけだ。
しかし、強引に床へ押し倒されて身動きを封じられた。抵抗しようにも腕力に差がありすぎて抜け出せない。
ここまでか……!
命の終わりを覚悟した次の瞬間、力強い咆哮が響き渡った。
私を殺そうとしていた見張りの男性が、背後から襟を掴まれて振り飛ばされる。壁に身体を打ち付けられた彼は、苦しそうな声をあげて地面に沈んだ。
なにが起こったの?
動揺に揺れる視界に映ったのは、ベルナルド様だった。
来てくれた。助けてくれた。



