悪女のレッテルを貼られた追放令嬢ですが、最恐陛下の溺愛に捕まりました



 低い声が倉庫に響いた。

 ふたり組の見張りだ。本館に向かったはずの彼らが鬼の形相で扉の前に立っている。


「怪しいと思って戻ってみれば、そこでなにをしているんだ」

「そ、それは。皆さんの代わりにルビ草のエキスを抽出しようとしただけです」

「待て、顔を見せろ」


 まずい。

 危険を察したときにはもう遅い。ズカズカと近寄ってきた男にあごを掴まれた。手加減のない荒っぽい指に痛みが走る。


「お前は、例の獣の婚約者だな?本館で役人が騒いでいた。まさか、この計画を邪魔するつもりで来たとはな」


 化粧室から抜け出したのがバレたらしい。抵抗する間もなく腕をとられ、抱えていたルビ草が辺りに散らばった。

 喉元に剣が突き立てられ、恐怖のあまり呼吸が止まる。


「獣たちを手にかける前に、こいつを始末しよう」

「いや、その女の容姿は使えるだろう。ウチの諜報員として引き入れないか幹部に判断を委ねるのはどうだ?」


 まさか、私を利用するつもり?